2019.11.29UP
後編:東京五輪に向けてバスケをもっと身近に感じてほしい
アルバルク東京 田中大貴×松田悟志
田中大貴選手は、どのようにBリーグのトッププレーヤーにたどり着いたのか。高校時代の思い出からファッションのことまで。対談の後編では、松田悟志さんが田中選手の素顔に迫ります。また田中選手がBリーグの魅力についても熱く語ってくれました。
松田_田中選手のキャリアについても聞かせてください。高校時代はどういった選手だったんですか?
田中_もう、なんでもやるような自由なタイプでした。ポジションも役割もあまり関係なく、すべてをやっていた感じですね。
松田_Bリーグの選手の高校時代は、みんなそうですよね。ボールを持ったら、すべてをひとりで完結させちゃうような。野球で例えると、「エースで4番」のような選手たちの集まりですから。
田中_だと思いますね。
松田_「田中大貴伝説」はないんですか?
田中_いや、それはないです(笑)。むしろ、僕は特殊だと思うんですよね。名門高校出身の選手が多いなかで、僕は長崎県にある全国的には無名なチーム出身なので。
松田_エリート街道を歩んできたイメージでしたけど。
田中_全然ですよ。雑草系だと思います。
松田_どうやって、ここまで上り詰めたのですか?
田中_高校2年生の時のウインターカップがターニングポイントだと思います。その大会で優勝した京都の洛南高と対戦して負けてしまったんですけど、その試合を東海大の先生が見てくれていて、声がかかったんです。たぶん洛南の選手を見に来ていたと思うんですけど、僕のプレーを評価してくれた。もし、あの試合がなかったら、今僕はここにはいないかもしれないですね。
松田_昔から身体は大きかったんですか?
田中_いえ。今は192センチありますけど、中学の時は173センチしかなかったです。
松田_高校で一気に伸びた感じですか?
田中_そうですね。高校の時は相当食べていましたから。
松田_どれくらい?
田中_高校の時は、推薦で入った生徒たちと一緒にアパートみたいなところに住んでいて、ご飯は先生の家で用意してくれました。先生の奥さんがご飯を作ってくれるんですけど、朝からものすごい量を出してくるので、必死に食べていました(笑)。実は僕、それまでは病弱だったんですよ。
松田_病弱?
田中_本当なんです(笑)。すぐに体を壊しちゃうような子で。でも、その食事を食べるようになってからはまったく体調を崩さなくなったので、食事って本当に大事なものなんだと実感しました。
松田_病弱だった子どもが、今ではBリーグのスター選手ですからね。人生何が起こるか分からない(笑)。Bリーグも今年で4シーズン目ですけど、今の盛り上がりをどう感じていますか?
田中_競技そのもののレベルは上がっていると思いますし、エンターテイメント性も高くなっていると思います。どのチームもお客さんに喜んでもらおうと、競技以外の面にも力を入れてやっていると思います。
松田_アルバルクはどういったことをやっているんですか?
田中_うちの目玉はロボットですね。3ポイントを決めるロボットがいるんですよ。
松田_え、なにそれ! 知らなかった……。
田中_「CUE3」っていうんですけど、彼は本当にすごい。絶対に外さないですから。ボールを渡すと、自分でゴールまでの距離を計算して、100%の確率で3ポイントシュートを決めるんです。その映像を見たNBA選手がツイッターで拡散するほど、話題になっていますね。
松田_これを見に行くだけでも、価値がありますね。選手とファンの触れ合いも、Bリーグの魅力ですよね。
田中_そうですね。試合前のアップしている時とかに、小さい子どもをコートに呼んで触れ合ったりしています。その様子をファンの人たちが写真に撮ってSNSにアップしてくれたり。選手との距離が近いのも、楽しめるポイントかなと思います。
松田_もちろん試合は迫力があって面白いけど、試合前から楽しめる。それがBリーグのいいところですよね。他にファンサービスはやっているんですか?
田中_アルバルクはシーズン前に優勝公約を決めないといけなくて。僕はなかなか思いつかなかったので、「優勝したら自分が主催のイベントをやります」って公約を掲げたんです。そしたら、優勝しちゃって(笑)。しかも、2年連続で。
松田_どんなイベントを開いたんですか?
田中_アリーナのすぐそばにある立飛のビーチで、バーベキュー大会を開催しました。僕の背番号の24にちなんで、240人も集めて。2019-2020シーズンも優勝したらやる予定でいます。
松田_それは、ファンの皆さんにとって最高のイベントですね。
田中_女性のファンもいますし、家族で来てくれるファンもいます。全部のテーブルを回って参加者全員と話をするんですが、普段はあまり話す機会もないので、みんな喜んでくれますね。最初は思い付きでしたけど、今ではやりがいを感じています。
松田_もう、優勝できなくても、毎年恒例のイベントとしてやってくださいよ。
田中_そうですね。考えておきます(笑)。
松田_ちなみに、田中選手は普段どういうファッションをするんですか?
田中_黒とか、白とか、モノトーン系がほとんどですね。シンプルなのが好きです。特別ファッションに拘りがあるわけではないですけど、情報を得たり、見るのは好きです。
松田_バスケファッションはどう? 僕は「ブルズの帽子をかぶっている女性、かわいい説」を提唱しているんだけど(笑)。
田中_確かに、おしゃれな子がかぶっていそうなイメージですね。
松田_Bリーグの会場でも、おしゃれだなと感じるバスケ女子は多いですよね。若い子がたくさんいるし、活気がある。家族連れのファンが多いのもいいですね。親子でチームTシャツを来て、ワイワイ応援しているのは本当に楽しそうに見えます。
田中_自分の背番号のTシャツ来てくれていると嬉しいですよ。応援してくれているのを感じるし、頑張ろうって思います。
松田_バスケをこれから見たいと思っている人もたくさんいると思うので、そんな人たちにメッセージを送るとすれば?
田中_バスケットは、会場とコートとの距離が近いですし、点数がたくさん入るので、ひと時も目が離せないスポーツだと思います。テレビで見るのもいいですけど、やっぱり会場の空気を味わってほしいですね。あのライブ感こそが、バスケットの醍醐味だと思います。
松田_一回行くと、はまっちゃう人も多いですよ。
田中_みたいですね。もちろんスポーツではあるんですけど、ひとつのエンターテイメントとして感じてもらえると、すごく楽しめると思います。はまってくれるように、もっともっと頑張っていきたいと思います。
Styling:Shiori Toba(松田悟志)