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2019.11.14UP

後編:いろんな角度で楽しめるからバスケは面白い!
〜千葉ジェッツふなばし 西村文男選手×松田悟志〜

松田悟志さんと西村文男選手(千葉ジェッツふなばし)の対談の後編では、西村選手の様々な活動をフィーチャー。
『F会』と呼ばれるファンイベントから、自身のファッションブランドの話まで。「バスケ界全体でいろんな楽しいことを仕掛けていきたい」と語る西村選手の想いに迫ります。

松田_文男くんのシーズンオフのイベント『F会』は毎回めちゃくちゃ面白い! ファンの人と一緒にバスケをするイベントで、毎年『松田チーム』を作って出場させてもらっているけど、バスケファンはもちろん、ライト層の人たちにもバスケを届ける活動を積極的にしているのは本当に素晴らしいと思うよ。

西村_『F会』は、前の所属チームがファン感謝イベントをやらないシーズンがあって、その時にファンから「何か面白いことをやってほしい」と直接言われたのがきっかけでした。ちょうどその頃にロンドンブーツ1号2号の田村 淳さんの『淳の休日』というインターネット番組でバスケのイベントをやったんです。その経験から「これならできるな」と思って、いろいろな人と接点を増やしながらやっています。

松田_今や僕のファンの人達も、文男くんのことを知っているからね。「F会、すごく楽しみです!」とか「またやらないんですか?」とか言われたりするくらい。

西村_逆にこちらも感謝していますよ。松田さんのファンからお手紙を頂いたりして。「松田さんとバスケをする機会を作ってくれて本当にありがとうございます」って。毎年松田さんは呼んでくださいとも言われました。まさに、バスケとダイレクトに接していない人も巻き込むことができているなという実感があって、すごくうれしかったです。

松田_今年なんて、もう入場制限かけたほうがいいんじゃない?ってくらいに、体育館が人で埋まったからね。文男くんの活動に対する真剣さが伝わっているんだと思うよ。さらに最近は自分のファッションブランドも立ち上げたよね?

西村_昔から洋服が大好きで、社会人になる時に真剣にアパレル業界に行こうと考えていたくらいです。ジェッツに移籍してきた時に、将来的に自分のブランドをやりたいという想いをチームに伝えたら、協力すると言ってもらえて。それでジェッツにどこかのタイミングで恩返しをしたいと思って、2年前の天皇杯で優勝したのをきっかけにブランドをスタートさせました。

松田_行動力がありすぎて、もはや何者なのかがよくわからない(笑)。

西村_イベントやファッションブランドを立ち上げた理由は、バスケをやめたら『ただの人』と思われるのが嫌だったから。自分にさらなる付加価値をつけたいと思って、いろんなことにチャレンジしているんです。

松田_ブランド名は『eleven』っていうんだよね。

西村_そうです。名前の由来は、僕の背番号が11だから。バスケット用語にすると、アパレルの世界の人たちからダサいと思われるだろうと思って、変に凝った名前よりもシンプルに付けました。

松田 どのような想いで、このブランドを立ち上げたの?

西村_これは僕の個人的な感想なんですけど、バスケをやっている人たちは、周りから服装がだらしないと思われているんじゃないかと。大学時代はチームみんなで、スウェット姿で電車移動していることもあったので。でもプロのチームであれば、スーツだったり、きっちりとした服装で動いているし、もちろんそのほうが見栄えがいいと思う。そういう文化をバスケ界に広めたいし、世間の印象を変えたいという想いがありました。

松田_ブランドの展開やスピード感がすごく速いし、好評だよね。メンズから初めて、1年も経たないうちにレディースやキッズまで作ったのには驚いた。

西村_オフシーズンに代官山でポップアップショップを出させてもらった時は、感激して充実感もありました。僕は今『eleven』の代表をしていて、デザイナーさんがついてくれています。基本的には僕が作りたいものをディレクションして、それをデザイナーさんが形にしてくれるという流れです。

松田_実際に服を作り始めて、こだわりみたいなものは出てきた?

西村_バスケ選手のような体の大きな人でも着られるサイズで、でも実際に着るとスッキリとカッコいいデザインになっていることですね。でもブランドを立ち上げて最初のアイテムは、女の子向けを狙って作りました。女性ファンもきっと興味を持ってくれるだろうと思ったので、女性も着られるものにしようと。ただ先日のポップアップで出した新作は男性選手に着てほしかったので、少し男臭いアイテムが増えています。

松田_やりがいだけではなく、大変な部分も当然あると思うけど?

西村_まだまだ小規模でやっているブランドなので、練習が休みの日に家にスタッフ5人ぐらいが集まって、商品梱包から伝票張りまで、自分たちでやっています。でもこのバタバタ感も楽しいと思えるほど、今は充実していますよ。

松田_僕自身はバスケをやっている人たちにそんなダサい服装のイメージはなかったけどなあ。バスケ選手は高身長だし、どんな服も着負けしないところはあるよね。何よりバスケとファッションの世界をつなごうとしているその行動に価値があると思う。

西村_コアなバスケットファンは譲れないプライドを持っていると思います。ただ、一方でちょっと横を見ると、そこには知らないけど楽しい世界も広がっている。僕は『eleven』や『F会』の活動を通して、他チームの選手やファンも巻き込んでいきたいし、バスケ界全体でいろんな楽しいことを仕掛けていきたいです。

松田_今やバスケの日本代表戦で、さいたまスーパーアリーナが超満員になる時代。居酒屋でもサラリーマンから「八村がさあ」みたいな会話が聞こえてくるぐらいだから。そんな状況は、ちょっと前なら考えられなかったよね。Bリーグ自体も若いお客さんが増えているから、これからどんどんバスケ界が盛り上がっていきそうだよね。

西村_バスケはアリーナで開催されるから、野球やサッカーよりも選手との距離が近い。そこがのめり込みやすさの一つかもしれないですね。何より試合会場には競技面以外にも楽しめる要素がたくさん仕掛けてあります。一度会場に来てもらえたら、必ず楽しませる自信があるので、ぜひ気軽に見に来てほしいですね。

Costume:roarguns / NUMBER (N)INE(松田悟志)
Styling:Shiori Toba(松田悟志)

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