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2021.03.24UP

松田悟志さんと今月のバスケ雑談
〜凄い日本人選手! 前編〜

現地メディアに注目されるほど活躍が華々しい日本人選手! 今回のファン目線雑談は凄い日本人選手を語り合いました。

――NBAで渡邊雄太選手の活躍が目覚ましいですね。

「いやあ、すごいですよ。現地でも大絶賛ですからね。契約の期間が迫っていますが、この大活躍で、もしリリースするようなことがあったら、日本人ファンの反感をものすごく買うでしょうね(笑)」

――守備力が高く評価されていますが、3ポイントの確率も上がってますよね。

「1試合に1本は決めていますよね。3ポイントを課題と捉えて、努力を続けた成果でしょう。でも、やっぱり特筆すべきは、ディフェンスですね。この前も、アンソニー・エドワーズに頭の上からダンクを決められたんですけど、あそこでブロックに跳んだことが何よりすごいこと。スピードに乗っている状態で、ノーチャージングエリアに入ってくれば、普通は跳びませんから。アメリカのメディアからは頭の上からたたき込まれたことをネタにされていますけど、そうじゃないということは選手も分かっているはず。エドワーズが、今季ナンバーワンと称されるダンクを決めた相手が渡邊選手だった。アメリカのファンは、あのプレーで、ユウタ・ワタナベの名前を認知したはずです」

――渡邊選手のディフェンスの凄さって、具体的にどういったところなんですか。

「オーランド・マジックにニコラ・ブーチェビッチというビッグマンがいるんですけど、ほとんどブロックショットをされたことがない選手なんです。デカいのに、身のこなしも上手いから、止められない。そのブーチェビッチを、渡邊選手は正面から叩いたんです。インディアナ・ペイサーズのマイルズ・ターナーも、渡邊選手は止めていましたね。叩くことはあっても、叩かれることはめったにない選手。その2人をブロックショットしたことは、ちょっと信じられないですよね。『ディフェンスが上手い』と一口に言っても、足がよく動くのか、手が伸びるのか、はたまたシュートフェイントにだまされないのか。いろんな要素があるんですが、渡邊選手の場合は、すべてのスキルを高次元に兼ね備えているんですよね。どんなに身体が動いても、背が高くても、フェイントにかかる人はブロックショットはできない。フェイントされまくるエリアで真正面から叩くのは、相手を冷静に見ている証拠。余裕が出てきたのか、逆にこれをしないと帰らされるという危機感があるのかは分からないですけど、いずれにしてもステージがどんどんと上がっていることを感じますね」

――八村塁選手を除けば、これまでの日本人のイメージはすばしっこく動いて、チャンスメイクする感じでしたけど、デカい相手を止められる選手が現れるなんて、衝撃的ですよね。

「めちゃくちゃすごいことですよ。香川県から、あんな選手が出てくるとは! 全然関係ないですが香川県といえばうどんで、最近ハマっている食べ物です(笑)」。

――確かに、何を食べて育ったのかは気になりますよね。

「これは、あるトレーナーから聞いた話なんですけど、トップレベルで活躍している野球選手がどんなものを食べてきたのか。統計を取ったら、ひとつだけ共通しているものがあったんです。それが小魚。大きな魚はさばきますし、肉にしても内臓を取りますよね。でも、本当に必要なものは、その生き物を丸ごと食べないと手に入らない。それを唯一できるのが小魚なんですって。だから、渡邊選手も小さい頃から小魚を食べていたのかもしれないですね。あくまでも妄想ですが!」

――渡邊選手に続きそうな日本人選手っていますかね?

「僕が注目しているのは、富永啓生選手なんですよ。高校を卒業して、アメリカの大学に入って、今年からよりレベルの高い大学に編入したんです。なんで富永選手が通用するかと言えば、身体能力をそこまで問われない3ポイントシューターだから。身長は190センチにも満たないくらいですけど、ステフィン・カリーも190くらいで、J・J・レディックもそれくらい。サイズがなくてもシュートの名手と言われる人は何人もいるわけです。富永選手も同じタイプですし、実際に和製カリーと呼ばれるくらいですから」

――3ポイントの精度が半端ないと?

「おかしいくらい3ポイントを打つんですよ。ちょっと、大丈夫かと思うくらい(笑)。相手のボールをカットして、ハーフラインを越えた瞬間に打つんですから。それも、とんでもない確率で入れちゃうんです」

――デイミアン・リラードみたいですね。

「そう。ハーフコートショットを普通に決めちゃいますから。あそこから打たれると、ディフェンスは大変なんですよ。前に出なくてはいけないけど、その分、抜かれるリスクも大きくなりますから。そのプレーがアメリカの大学でも普通にできているので、数年後にNBAに入ってくるはずですよ」

――カリーにしても、ハーデンにしても、とんでもない位置から躊躇なく打って、普通に入れちゃいますよね。

「そうなんですよ。最近は、ロゴショットが練習メニューに入っているほど。だから、バスケ好きの間では、3ポイントラインがなくなるんじゃないかって噂されているんです。3ポイントが入りすぎて、僕らが子供の時と比べて、ラインが50センチくらい遠のいたんです。それでも、その距離からもおかしな確率で決める人がどんどん出てきた。もう、黒子のバスケで言う緑間のようなもの(笑)。漫画レベルで入るようになっていますね」

――しかも、本来3ポイントシューターではない選手が、遠い位置からでも普通に決めちゃうから恐ろしい。

「だから最近、ポジションの新たな呼び名が生まれているんですよ。ポイントガードが1番、シューティングガードが2番、スモールフォワードが3番、パワーフォワードが4番、センターは5番と言いますけど、昔は4番や5番の選手は3ポイントを打たなかったんです。でも今は、当たり前のように打つようになっている。そんな選手のことを、ストレッチ4、ストレッチ5と呼ぶようになったんです」

――ストレッチとは?

「その選手が持つと、マークするディフェンスが外までついていかないといけないじゃないですか。つまり、ディフェンスラインが外に伸ばされるからストレッチ。ストレッチ4でも珍しかったのに、最近はストレッチ5もどんどん出てきているんです」

――デカくて、3ポイントも打てるなんて、ある意味、反則ですよね。

「クリスタプス・ポルジンギスなんて、最強ですよ。2メートル20もあって、3ポイントも打てる。ああいうことされると、ついていかざるを得ないんです。本来、5番の選手が外に引き出されるのは、とんでもない失態なんですよ。でも、それが今のNBA。まさにポジションレスになっているんです」

後編はコチラから!

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